LBS Executive MBA (EMBA)

Cambridge MBA卒業の大学同期から、London Business SchoolのEMBAも見てみたらどうかとアイディアをもらったので、見てみたら興味が出てきた

 

 

 

 

www.business-paradigm.com

 

A Complete Guide to the LBS MBA

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斎藤 陽史(さいとう きよし)さん LBS/英国2003-2005 EMBA 在校生

プロフィール[インタビュー実施:08/2004]

1990年 ソニー(株)に入社

業務用機器の海外営業部門の営業管理を経験後、ハンディカムの海外拡販部隊にてアジア・中近東を中心に20カ国以上において商品導入プロジェクトを実行。 その後ビデオデッキ部隊に移り欧州に赴任(アムステルダム)、欧州全域向けのビデオデッキ商品企画マネージャーを3年間担当。 新しいプロダクトブランドの導入を企画・実行。帰国後は新規ビジネス開発部門を経て、 戦略ベンチャー投資部・社内ベンチャーキャピタリスト養成プログラム第一期メンバーに選抜され参加。 ハイテクスタートアップにフォーカスした投資候補の審査や投資先会社の経営サポートを行う(含む投資先の会社への6ヶ月出向)。 社内ベンチャーキャピタリストとして2年間を過ごした時期に(この頃USCPAを取得)、 ソニーエリクソンによる携帯電話製造販売のJV(ソニーエリクソン)が発足、欧州時代の先輩から誘われ、 ソニーエリクソンのロンドン本社に赴任。グローバルなハイテクリーディングカンパニーとのJVという場において、 今までの経験を総合的に活かすべく日々努力中、今年で3年目を迎える。 ロンドン駐在中、2003年には中国12都市にて携帯電話小売り販売の仕組みを企画・導入するために6ヶ月間長期出張。 現在は ロンドン本社のGlobal Business Planning & Control シニア・マネージャー。

MBAを受験したタイミング

1990年にソニーに入社以来、いつかはMBAを受験しようと考えていたものの、ソニーでの仕事がとても面白くて本格的に準備することもなく充実した仕事と大好きなフットサルを楽しんでいた。アムステルダムでの任期を終えて2000年に帰国時に33才となっておりMBA留学は半ばあきらめてしまい、それでも自己啓発の意欲はあり当時のベンチャー投資業務に直結するという点からUSCPAを取得する。その後2002年にソニーエリクソン(ロンドン本社)に赴任となる。日本人アドバンテージが活かせる通常の日系企業の海外販社とは大きく異なり、ソニーエリクソンの場合欧州(ロンドン・スウェーデン)が正に本社圏。「ソニー流云々」だけでは通用しない、厳しく個々の能力とコミットメントを求められる環境で、非常に高いスキルを持ったグローバルなメンバーにもまれている内に再び自己啓発の意欲が湧いてきたのである。ここで遂にMBA本格的受験を決意することになる。

MBA受験校選定

最初はフルタイムMBAの存在しか知らず、かつ出来るだけ早く実務に復帰したかったので1年間プログラムかつ学生の年齢層の高いMIT、スタンフォード、 LBSのスローン・プログラムなどを受験するつもりでいた。その後週末・夜間に授業の行われるExecutive MBA (EMBA)プログラムの存在を知る。学校で学んだことを仕事に即活かせるメリットが決め手となり、最終的に仕事を続けながら取得できるEMBAプログラムを選択。ロンドンから通える学校を中心に絞り、欧州にあるLBS、IMD, INSEADを受験することに決定。運良く受験校全てから合格のオファーを頂く。立地と通学の観点から最終的にLBS EMBA(学位はMBA)に進学決定。マネジメントの理解の上、時間・費用共に自己負担ベースで進学することになる。

TOEFL/GMAT準備

受験準備については、海外在住の身であったため、予備校の活用等に関しては圧倒的に不利であった。
GMATマニアというサイト(http://gmatmania.fc2web.com/)での情報が命綱だった。 このサイトではMBA受験対策の基本情報はほぼ網羅していると思う。私の実際の対策もGMATマニアでのアドバイスをベースに決めた。
TOEFLは完全に独学。ETSで販売している問題集を全て買い集め(ETSのHPから注文)、2回程解く。単語は「TOEFL英単語3800語」(神部孝著)を通勤途中に10回くらい回し、文法は「TOEFL Test 620点」(長本吉斉著)を一通り目を通した。点が伸びなかったリスニングは、ETSの問題集のテープの早回しMDを作成して何度も聞くことで克服。目標のスコアが出るまで4ヶ月くらいかかったが、TOEFLはETSの過去問をきちんとやれば独学でも十分にスコアアップが可能だと思う。

GMATはまずプリンストンレビューのビデオ講座を一通り見たあとは問題集をひたすら解いた。バーバルに関してはETSの問題集(ETSのHPから注文)と中国の予備校が発行しているGMAT過去門集を解いた。数学に関しては、ある方に「マスアカデミー」という予備校の(当時絶版だった)問題集を譲って頂き、これを5回程解いた。目標得点に到達する前に受験校全て合格してしまったので、本当はGMATを終了したは言えないかもしれない。GMAT受験勉強の時期に中国への長期出張が重なったために、自分が統括しているプロジェクトとの両立がかなり困難となり結局終了するまで4ヶ月くらいかかってしまった。個人的には、GMATの独学は厳しいのではないかというのが率直な感想。

エッセイに関しては、立地の点からロンドンベースの「ビジネスパラダイム・ドットコム」を利用。一度直接面談をしたことが功を奏したのか大変に丁寧な書き方指導を頂き、私のエッセイ作成能力も飛躍的に向上した(と思う。合格したので)。まず一校目のエッセイを仕上げるのが大変だが、一度仕上げれば他の学校のエッセイにも使いまわしがきく部分もあるので、1校目を仕上げるタイミングが受験日程管理において非常に重要。一般的には、本命校のエッセイは後回しにした方が仕上がりが良くなると言われているが、私の場合は本命のLBSの受付締め切り直前(5月末!)だったので、LBS向けに最初にエッセイを仕上げる羽目になった(結果は合格だったがお勧めできない)。エッセイは3校のみの受験だったので、2ヶ月くらいで終了。

トータルで準備期間は10ヶ月間、総額費用は、43万円くらい。

①出願料: 6万円くらい
②予備校(プリンストンレビュー)のGMAT入門ビデオ: 10万円?
③エッセイ指導(ビジネスパラダイムドットコム): 12万円くらい
③書籍代: 5万円くらい
④GMAT、TOEFL受験料: 10万円くらい
⑤インタビューキャパスビジット: 0円(ロンドン・ビジネススクールは電車賃、INSEAD(仏)は出張をかねて、IMD(スイス)は電話でのインタビュー)

もっとお金をかけてでも準備期間を短縮したかったが、海外赴任をしている上に更に中国へのプロジェクト出張が重なり他の方法は取りようがなかったと考えられる。中国長期出張時には更にSARSパニックも起こった為、地方に出張に行くフライトの中でマスクを着用しながらETSの問題集と解いたりと、受験準備を続けるのは厳しい環境ではあったが辛抱強く乗り切ったと思う。私の好きな言葉: 「成功するまで続けず、途中であきらめてしまえば、それで失敗である」(松下幸之助)。ソニーマンですが。

エッセイ準備

最も重要なのが、「何故MBAを目指すことが必要なのか」が一貫したストーリーで論理的にかつ熱く書かれていることである。私の場合は、近い将来にアントレプレナーになるゴールもっているということ、そのゴールを達成するためには、今までの積み上げてきた経験が必ず活かせるが、それでも組織行動マネジメントなど足りない部分があり、それをMBAで学びたい、ということを心を込めて書いた。

ゴール達成のストーリーににポイントを置きつつ、授業への対応能力とクラスへの貢献とを証明するために、今までの実績とポテンシャルをアピールすることも大変重要である。私の場合は、ソニーの中で責任のある仕事を任され自由にやってこれた経験、特にアムステルダムでの欧州向けビデオデッキ商品企画マネージャー経験、社内ベンチャーキャピタリスト経験、ソニーエリクソン・ロンドン本社でのでグローバルと中国でのプロジェクトマネジメント経験、の3つの経験を実績としてアピール。次に多様なバックグラウンドのプロジェクトチームのマネジメント経験を多く積んでいる点をアピール。次にアカデミックポテンシャルとして、業務を続けながらUSCPAを取得したことも付け加えた。

以上が各エッセイに共通したポイントだが、これに加えて「何故あなたの学校でなければならないのか」についても論理的にかつ熱く語らなければならない。私は LBS,、IMD、そしてINSEADそれぞれの学校に対して、ウェブサイト、ブローシャー、そしてアドミッションに紹介して頂いた卒業生から多くの情報を得て、自分のシナリオと、各学校が学生に求めている点がマッチするようにロジックを練った。限られた量のエッセイの文章ではあるが、どれだけその学校のことを調べたのか、又どれだけその学校に熱い思いがあるのか、といったことは、多くのエッセイを読んできた入学審査官が読めばわかるものである。

TOEFL,GMATのスコアの推移

各校の最低要求ラインは大体TOEFL 270、GMAT600レベル。私の場合、その最低ラインをクリアしたスコアを提出直後に各校との面接が設定され、その後1週間以内に相次いで合格のオファーを頂いた(結局TOEFLは4回、GMATは2回の受験回数)。フルタイムプログラムほどではないが、トップスクールともなると各校のEMBAプログラム合格者の平均点は、例えばLBSの場合でTOEFL 280、GMAT670レベルと高い。こうした状況で全校から合格を頂けたのは、スコアよりも自分のスペック・経験とポテンシャル、MBAで学ぶ内容、そしてその先のキャリア目標につながるシナリオを説得力を持って熱く語ることができたことが成功のポイントだと思う。

キャンパス日記

1.クラスメイト
LBSのEMBAプログラムは秋と春に始まる2ストリームがある。私たちはEMBA2005秋スタートのストリームで74名。クラスメートの国籍は33カ国。正にロンドンのEMBAならではのダイバーシティ。日本人は私1人と、とてもマイノリティ。これには良し悪しがある。困った点は、何があっても英語でやっていくしかない点。良い点は、日本関係の話題があがれば、クラスへの貢献は独壇場となる。毎年LBSのEMBAは日本人は1人いるかいないかぐらいなので、日本人の方、もっと増えて欲しい。業種もコンサルティング、金融、事業会社、弁護士、医者など多岐に渡っている。平均年齢が33歳ということもあり、既にマネージャー・VPレベルが大半。私のチームメートは、弁護士、米系投資銀行のVP、物理学博士、などEMBAならではの顔ぶれ。議論も必然と大変興味深いものになる。

2.授業の特徴
LBSはファイナンスが強いと言われている。これはウォートンからLBSに交換留学に来ていた学生がそう言っていたので、グローバルでもトップレベルだろう。講義内容は10-20%が授業への参加、30-40%がチームプロジェクト、40-60%が個人のパフォーマンス、といったところが平均的な評価パターン。授業で使うケースは、グローバル観点を意識して、US系だけでばく、欧州系もバランスよくミックスしたコースがほとんど。LBSはフルタイム MBAもEMBAも基本的に同じ教授・同じ科目を提供。1年目はEMBAストリームだけでコアコースを取ることになるが、2年目の選択科目はフルタイム MBAもEMBAも全く同じ科目を選ぶことが出来る。

また、LBSはフルタイムMBAもEMBAも同等に交換留学のチャンスを与えてくれる。2005年のへ交換留学生に選抜され、Dartmouth (Tuck)へ2005年1-3月に留学予定。人生最後のフルタイム学生生活を楽しみにしている。

3.仕事との両立の苦労
仕事とLBSの2足のわらじで大変苦労があるものの、LBSで勉強ししたことを実際に仕事に活かせるケースも多々あり、総じて満足。それでもソニーマンのプライドを持って受けていたマーケティングとストラテジーの2科目ではディスティンクションを頂いた。メリハリをつけてやりくりをしている。現実の問題の方がはるかに困難であるが、LBSでの徹底的なケーススタディの議論から学べる「ものの見方・考え方」は仕事の問題への取り組みに活かされている。又、アサイメントの中にも働いている会社をラボラトリーとして取り組むというものも多く、学問はともすれば現場・現実と乖離しがちだが、EMBAの場合、仕事上の実際の問題に適用するトレーニングのチャンスが多いことは大変なメリットだと感じている。最大の泣き所は、有給休暇のかなりの部分を学校のプロジェクトの為に使い果たす羽目になっていること。

4MBA留学の最大のメリット
仕事内容が充実してくること、素晴らしい一生の友人を得ることができること、ものの見方・考え方へのポジティブなインパクト、タフなプログラムをこなしているという達成感と自信、など広い意味で「人生を有意義に過ごすための投資として大きな価値がある」と考える。よく見かけるのが短期的な金銭的ROIで計るアプローチであるが、それは一つの見方にしか過ぎないと思う。

5.英語の苦労
海外赴任合計で5年間、LBSにも10ヶ月いるおかげで授業中での会話でのやり取りはほぼわかる。但し、授業への準備の為のテキスト、ケース等の読み物が膨大にあり、それらを読みこなす英語力不足を痛切に感じる。ネイティブはもちろん、欧州系の人間の方がやっぱり英文を読むのは圧倒的に早い。仕事で時間の制約がある中、授業について行くためには、余暇の時間の相当部分を勉強に費やすしかない状態。

6.MBA留学してよかったと思った出来事
LBSに来なければ出会うことが無かったであろう素晴らしい人達と親しい友人になれたこと。もちろん日々の授業で親しくなっていくのだが、特に大きなプロジェクトはクラスメート絆を深くすることになる。LBS EMBAの特徴として、海外へ出向いて現地会社をコンサルティングする、というプロジェクトがある。今年の5月には南アフリカに1週間のプロジェクトに行ってきた。今回我々が行ったコンサルティングは「企業内のコミュニケーションの問題点を洗い出して改善点を提案する」もの。グループメンバーと昼間はクライアントの所でデータ収集、夜は毎晩日付が変わるまで徹底的分析を続けるタフな日々だった。最終日には社長を含めた役員陣に「現状分析と改善案の提案」のプレゼンを行った。役員陣からも高い評価を受けた後は、言葉に表せない達成感と一体感で満たされた。高い能力と様々なバックグラウンドを持ったクラスメート全員が熱くしかも自然体でぶつかり合ったこのプロジェクトのことは忘れないであろう。

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