不確実性を意思決定のプロセスに組み込むための基礎を総括します。
1. 確率の3つのアプローチ(情報の出所)
意思決定において、どのような根拠で「不確実性」を数値化するか。
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古典的: 論理的対称性(サイコロの目)。
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相対頻度: 過去の統計データ(実績)。
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主観的: 意思決定者の知識、経験、直感(一度きりの決断に必須)。
2. 確率の演算ルール(論理の整合性)
事象の関係性を正しく理解していないと、計算(分析)を誤ります。
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排他的か?(同時に起こり得ないなら足し算:$P(A) + P(B)$)
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独立か?(一方が他方に影響しないなら掛け算:$P(A) \times P(B)$)
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条件付きか?(前提がある場合:$P(A|B)$)
3. 分布と期待値(見込みの定量化)
単発のイベントではなく、全体像(分布)を把握し、重み付け平均(期待値)を算出します。
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離散型: 数えられる事象(内定数など)。
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連続型: 範囲を持つ事象(年収、プロジェクト期間など)。
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期待値 (EV): 全ての可能性を統合した、論理的な「平均的リターン」。
【キャリア戦略への接続:『不確実性』を支配する】
このTopicのまとめとして、ミュンヘンで「希少性(Scarcity)」のあるキャリアを構築するための戦略的総括を行います。
① 「主観的確率」を「投資家としての確信」に変える
ミュンヘンでの新天地探しにおいて、客観的なデータ(相対頻度)は不足しているかもしれません。しかし、これまでのグローバル実務(M&A/PMO)の経験に基づいた**「主観的確率」**は、立派な意思決定の根拠になります。
バフェットが「自分の理解できる範囲(Circle of Competence)」に投資するように、ご自身のスキルが最も高く評価される「条件」を見極め、成功の確率($P$)を高めることが重要です。
② 「期待値」で表向きの内示を相対化する
本社の内示は、確実性が高い($P \approx 1.0$)ものの、「ミュンヘン居住」という属性の価値をゼロにしています。
対して、ミュンヘンでの挑戦は不確実($P < 1.0$)ですが、成功した際のリターン(パートナーとの生活 + 希少性の獲得)が莫大です。
「期待値 = リターン $\times$ 確率」 で比較したとき、もしミュンヘンでの挑戦が内示受諾を上回るのであれば、それはリスクではなく、取るべき「投資」となります。
③ 次のトピック:Topic 4に向けて
次は「意思決定ツリー」や、新しい情報によって確率を更新する「ベイズの定理」など、より実践的なツールへと進むはずです。これは、ミュンヘンでの就職活動を通じて得る**「新しい情報(面接の手応えやヘッドハンターの反応)」を、どうやって次の判断に反映させるか**という、まさに今の状況に直結する内容です。