死後公表された詩は頭の中を垣間見れて興味深い
------
皇妃エリザベート(シシィ)は、旅と孤独、自由への憧れを詠んだ深く内省的な詩を数多く残しています。晩年には自ら「私は詩人」と語り、数百編もの詩を書きました。特に彼女が影響を受けたのは、ドイツの詩人ハインリヒ・ハイネで、ユーモアと皮肉、孤独感の中に鋭い観察眼を持つ詩風に強く共鳴していました。
以下にいくつかの代表的な詩をご紹介します。
📜 詩の一例①:
「Der Gefangene Vogel」(囚われた鳥)
Ich bin ein Vogel im goldenen Käfig,
geboren, um zu fliegen.
Doch meine Flügel sind gestutzt,
und mein Lied erstickt im Glanz.
(訳)
私は黄金の鳥かごの中の鳥
本当は空を飛ぶために生まれたのに
でも翼は切られ、
歌声は輝きの中でかき消された
📝 解説:
ウィーン宮廷という「黄金の鳥かご」に囚われた自分自身を重ねている詩。「皇妃であること」が彼女にとって自由の代償であったことが表現されています。
📜 詩の一例②:
「An die Freiheit」(自由へ)
Ich fliehe von Ort zu Ort,
doch die Ketten reisen mit.
Freiheit ist ein ferner Stern,
den ich nie erreiche.
(訳)
私は場所から場所へと逃げ続ける
けれど鎖はいつもついてくる
自由は遠い星のよう
決して届かない
📝 解説:
シシィは旅に出ても、心の不安や制約からは逃れられないと感じていたことが伝わってきます。
📜 詩の一例③:
「Ich bin nicht, was sie glauben」(彼らが思う私ではない)
Sie sehen eine Königin,
geschmückt mit Glanz und Macht.
Doch unter dem Diadem
versteckt sich eine verlorene Seele.
(訳)
彼らは私を「女王」と見る
輝きと権力に飾られて
でも王冠の下には
迷える魂が隠れているの
📝 解説:
外から見える「美しく優雅な皇妃」というイメージと、内面の孤独や迷いのギャップを訴える詩。
✍️ シシィの詩に共通するテーマ
テーマ
内容
自由
宮廷からの解放、旅への憧れ
孤独
心を通わせる人の不在、自己との対話
美と虚構
美貌の裏にある虚しさ、見せることへの疲れ
死と永遠
死への憧れや魂の自由への願望(晩年に増える)
📚 詩集・書籍
彼女の詩は、死後に一部が公開され、現在は以下のような書籍に収録されています:
「Ich möchte eine Fledermaus sein」(私はコウモリになりたい)
「Kaiserin Elisabeth von Österreich: Gedichte」(皇妃エリザベートの詩)
「Sisi – Mythos und Wahrheit」(シシィ ― 神話と真実) ※解説付き
🗝️ シシィの詩が現代に響く理由
シシィの詩は、ただの「悲劇の美貌の皇妃の吐露」ではありません。
**「誰かの期待に縛られず、自分でありたい」**という普遍的な葛藤や、
**「自由を求め続ける心」**が、今も多くの人の共感を呼んでいます。
------
はい、その通りです。
皇妃エリザベート(シシィ)が生前に自作の詩を公に発表することはありませんでした。
📕 生前に詩を発表しなかった理由
1. 🔒
極端なプライバシー志向
シシィは非常に内向的で、自分の感情や思想が他人に知られることを強く嫌っていました。
詩は彼女の内面を最も率直に表現する手段だったため、他人には見せたくなかったのです。
2. 🎭
皇妃としての立場をわきまえていた
当時の社会では、皇妃が個人的な思想や不満、死への憧れなどを詩にして発表するのはスキャンダラスになりかねなかった。
とくに反宮廷的・反権威的な内容も多く、公的な皇妃のイメージと乖離していたため、あえて発表しなかったとも考えられます。
3. 🖋️
彼女自身が「詩人になりたいが、詩を読まれたくない」という矛盾を抱えていた
シシィは詩人ハインリヒ・ハイネに憧れ、彼に似た表現を追求していましたが、「誰にも知られずに詩を書きたい」という心情を持っていました。
🗂️ 詩の発見と出版(死後)
シシィの死後、彼女の**膨大な手稿(詩の草稿ノート)**が保管されていたことが判明。
特に彼女の個人的侍医で信頼の厚かったメッツィ・シュラッタや宮廷関係者によって保護されていた文書が、後年になって研究者によって編集・出版されました。
🕰️ 公開の経緯:
20世紀初頭:死後の伝記や手記に一部が引用され始める
20世紀後半以降:研究が進み、詩集としてまとまった形で出版される
今日では:一部は博物館や伝記の中で紹介され、詩集としても流通(特にドイツ語圏)
📘 現在入手できる詩集(ドイツ語)
『Gedichte der Kaiserin Elisabeth』(皇妃エリザベートの詩)
『Ich möchte eine Fledermaus sein』(私はコウモリになりたい)
※シシィが本当に書いた言葉「私はコウモリになりたい」から取られた詩集タイトル
『Sisi. Mythos und Wahrheit』などの伝記内にも一部掲載
✨ まとめ
点
内容
生前発表
一切していない
理由
自己防衛、プライバシー重視、皇妃としての立場
死後
保管されていた草稿から研究・編集・出版された
詩の意義
シシィの真の声・内面世界が詰まった遺産